■1.朝〜昼は「覗ける」なのであるが、それでも普通の議論は出来るのである。時間ギリギリとかで質問攻勢とか無ければ。決定はいつ出してくれても、夜明けまでには確認できるのである。あんまり早過ぎるとそれに対する意見が遅くなる場合があるので、その辺り注意なのである。夜は大抵いるのである。
■2.■1でも述べたように基本的には特に無いのである。朝4:00とか滅茶苦茶な決定時間じゃ無ければモーマンタイなのである。
■3.グレムリンの ギズモ である。きっと気づいている者もいると思うであるが、吾輩は＿＿＿なのである。でも鬼かどうかは謎なのである。蝙蝠っぽいからである。
でも元々はグレムリンだったわけで、＿＿＿であったわけでは無いのである。そもそも＿＿など出来なかったのである。それまでは肉でも野菜でも人間でも好き嫌い無く食べていたのである。
でも生まれた場所が悪かったのである。
吾輩はとあるモンスター村で生まれたのである。モンスターとしての能力も強さも標準、もしくはそれ以下で、とても単体で勇者を妥当することなど出来なかったのである。恐らく、勇者的に序盤のダンジョン辺りで出てくるザコが吾輩なのである。
それでも吾輩は幸せだったのである。モンスター村は辺鄙な場所にあったであるし、何しろモンスター達の間では「失われた楽園」と呼ばれていたのである。誰もが戦いに借り出されること無く、幸せだったのである。
まぁ、モンスターとしては幸せではないのであるが、きっとみんなも、「楽園」と言うくらいだったんだから、きっとそれは「幸福」だったのである。
食べるごはんもあるし、親だって友達だって、近所のおばちゃんだって元気に遊ぶ子供だって、なんだって在ったのである。毎日が退屈ではあったけど、それでも吾輩は幸せだったのである。きっと人間的に言えば、「日常」とはああいうものなのである。
でも吾輩は殺されたのである。勇者にでも人間にでも無い、仲間だったみんなに殺されたのである。
肉体的にも、存在的にも、精神的にも。
そのモンスター村は古びた慣習があったのである。その時まで吾輩も知らなかったし、他の大抵のモンスターも知らなかったのである。知っているのは、「敢行した」モンスター達だったのである。
その「ある事」は秘密裏に行われていたのである。
それがどうしてか、その回は「公開」になったのである。敢行した上層部のモンスターの戯言など、とうに覚えてないのである。
吾輩は、その日の朝突然、「そこ」へ連れて行かれたのである。この村にこんな場所があったのかと思うくらい、何も無い荒野だったのである。
吾輩はそこで、一つの岩に磔にされたのである。そして抵抗できない体から、モンスター達は色んな機能を失わせていったのである。
痛かったのである。
でも、見ている人達は息を呑んで涙ぐんだり、「かわいそう」と呟いたり、同情めいた目を向けたり、何か汚らわしいものを見る目だったり、さも心配そうに取り繕っている姿ばっかりだったのである。
誰も助けようとはしてくれたなかったのである。
生きることの出来る最低限の「なにか」だけ残されて、吾輩は「生贄」にされたのである。尤も後で知ったことなのであるが、何でもその地方を統括するモンスターが、「平和の代償として魔王様へ、ザコを一匹生かして捧げよ。強者が勇者に倒されている時に、ザコがのうのうと生きているのはお門違い」と命令したそうなのである。勿論、魔王様の命令と銘打って。
吾輩はその荒れた地に放置されたのである。助けなんて求めなかったのである。処置される吾輩を見たモンスター達を見ていて、
「こりゃ無駄だな」
と分かったのである。
そりゃあ寂しかったのである。村も、平原も、森も、山も、限られた視界で追っていっても見えることは無いのである。誰かが通ることなんて無かったのである。見えるのは無機質な岩の影くらいだったのである。
痛さなんて感じていなかったのである。精神なんてとうの昔に死んでいたし、荒れた中からそれも風化していく風景みたいに、肉体なんか動かそうという気も無いのである。
春も過ごしたし、腐るような夏も過ごしたし、不安が募る秋も過ごしたし、永久に消えてしまいそうな冬も過ごしたのである。
実に笑える話である。
もうその頃には、吾輩がいた村なんてとうに勇者に滅ぼされていたし、統括していたモンスターも焼き払われていた。
吾輩は忘れられていたのである。
精神も、肉体も、存在も、置き去りにされたのである。
それを報せたのは、何年ぶりかにやってきた生き物の影だったのである。今では顔も思い出せないけど、凛とした声だけは覚えているのである。
その時に吾輩は、彼女に聞かれたのである。
「生きたいか」、と。
吾輩は生きたいとなど思っていなかったのである。どうせ死ぬなら、このまま死んだ方がいいと。それに、吾輩がここにいた時間は、何より無駄だったし、今からそんなもの、取り戻したところで何になるのか、と。
どうせ、吾輩のことを覚えているモンスターは、どこにだっていやしないんだから。
でも吾輩は、とうに涸れたと思っていたものが溢れてきたのである。今でも、どうしてあの時涙なんて流したのか、覚えてないのである。
とにかく、吾輩は生かされたのである。
一つの呪いと引き換えに。
まぁ、だから吾輩は＿＿＿なのであるが。
吾輩にはモンスターだった頃の概念は通用しなさそうなのである。魔法にしろ、魔眼にしろ。
まぁ物理攻撃はそれなりに痛いし、大勢で攻撃されたらどうなのかは分からないのであるが。
吾輩はそういうモノである。
