>>91ユージーン……!!
[...は慌ててユージーンの身体を抱きとめる。そのままゆっくりと身体を下ろした。膝の上にユージーンの頭を置いて]
幻聴……? 何が聞こえ
[――キィン。と耳鳴りのようなものがした]
あ。
[割れた硝子のように、記憶が断片的に入りこんでくる。
最初に映ったものは。教会の前の花咲く道。男と二人、手を繋いで歩いている自分。バスケットを持って。栗色の髪。優しく細められた瞳。ああ、これは]
……ギル。
[記憶の中のギルは笑っていた。楽しげに。そして、私も。人形のギルとは随分違ったけれど、記憶として、その愛しいものを思い出すことができた。もう、彼に恋するような激しい感情はないけれど。確かにあったもの。
温かい気持ちになって、微笑む。教会を見た。きっと、向こうでも……。涙が一滴、こぼれた]